みしま風鈴 岩頸(がんけい)
ご存じの方も多いかと思いますが、伊豆半島は海底火山群が隆起して現在の姿になりました。それは伊豆半島の各地の景観の中に、おおくの痕跡をみることができます。その景色の中でも、私がおもしろいと思うのは、岩頸(がんけい)という突如として現れる切り立った岩山です。
宮澤賢治は、童話『楢ノ木大学士の野宿』の中で、「諸君、手っ取り早く云ふならば、岩頸といふのは、地殻から一寸頸を出した太い岩石の棒である。その頸(くび)がすなはち一つの山である。えゝ。一つの山である。ふん。どうしてそんな変なものができたといふなら、そいつは蓋(けだ)し簡単だ。えゝ、こゝに一つの火山がある。熔岩を流す。その熔岩は地殻の深いところから太い棒になってのぼって来る。火山がだんだん衰へて、その腹の中まで冷えてしまふ。熔岩の棒もかたまってしまふ。それから火山は永い間に空気や水のために、だんだん崩れる。たうとう削られてへらされて、しまひには上の方がすっかり無くなって、前のかたまった熔岩の棒だけが、やっと残るといふあんばいだ。この棒は大抵頸だけを出して、一つの山になってゐる。それが岩頸だ。」と説明しています。
数メートルのものから、実際に登ることのできる数百メートルものものまであり、風化により荒々しく削り取られた岩肌を登り観察してみると、伊豆の岩頸には、ガラスの主原料である珪砂や、その他の諸成分も多く含まれており、大変興味深いものがありました。
今回、新作として製作しました みしま風鈴「岩頸(がんけい)」には、天城山の中央を流れる狩野川より採取した砂鉄の他、天城山近くを歩いた鹿の角など、この地に縁のあるものを多く含ませ、伊豆半島ならではのものに仕立ててあります。この風鈴の音の中に、伊豆半島の風景を思い描いていただけたら幸いです。
品名:みしま風鈴 岩頸 (がんけい)
寸法:径約8cm 高さ約7cm
みしま風鈴の生まれた場所、
「伊豆半島」は、 昔、海底火山が多く存在し、 その、火山活動がおさまったのち、風雨による浸食によって削られ マグマの通った道「火道」の内で硬化した岩山を岩頸(がんけい) あるいは岩栓(がんせん)、突岩(とつがん)といいます。 みしま風鈴 岩頸は、そんな自然の姿をイメージして製作されております。 今年のガラスは伊豆半島に流れる、狩野川の砂鉄、 磁鉄鉱をガラスの中に混ぜ込むことで 通常のガラスよりも高く、響きのあるガラスに仕立ててあります。
寸法や形状がそれぞれ異なります。
instagram みしま風鈴
静岡県三島市大社町十八の四
有限会社 日光陶器店
手作り硝子 みしま風鈴 関根久雄