昔は使えていたのに、今は使えないの?
昭和の時代の釜飯容器は、陶器のご飯釜として炊飯に使用し
駅弁などとして、容器ごと販売しているスタイルでした。
みなさんもご承知の通り、
陶器と呼ばれる焼き物は、
土を焼くことで、
土同士の結びつきを強くしています。
高温に加熱するほど衝撃に強い容器ができるので、
加工しやすく、高温で焼いても変形せず、
そのままの形状を保つ事のできる土を陶土といい、
良い土をブレンドし、均一化したものを陶器の粘土として使用しています。
陶土でできた容器は、高温で焼かれることで、
土同士の結びつきが強いものとなりますが、
土同士の大きさは荒く、
水が通る小さな隙間が開いているので、
水が染み込みやすかったり、
汚れが付きやすくなってしまうので、
釉薬(ゆうやく)と呼ばれる
ガラス質で陶土の表面を覆うことで
水の侵入を防ぎ、
再利用可能な強度と耐水性を持つ容器になります。
直火に使用できるのか?
耐熱性の土は熱膨張の少ない土と、
熱に対して柔軟性のある土の2種類があります。
この釜飯の容器に使用されている土は、
どちらかというと、
熱に対して柔軟性がある土といえ、
強度的には弱い部類にあたります。
熱を加えるごとに劣化がすすみ、
目には見えないヒビが入り、
使用しているとある時、壊れます。
正しい使い方をしていても壊れます。
加熱によって耐久強度が落ちるためです。
それが、何時、壊れるかはわかりません。
火力のタイミングや使用状態によっては 、
1回の使用で壊れてしまう場合もあります。
以前は、使用をやめるべき頃合いを、
家庭内では技術の伝承のような形で、
ご飯の炊き方を子どもたちに伝え、
経験を繰り返し習得していました。
伝統・古くからの技術と聞こえは良いものの、
科学や機械化が発達していなかった時代の技術のため、
道具を使いこなすには、
経験と感を必要とし、
火加減の調節など、使用者のな技量によって、
製品の安全が保たれるものでありました。
見た目では耐久性が消費者にわかりにくく、
文章に起こして添付しても
使用状態、使用頻度、使用者の取り扱い方法によっては、
事故を回避することができないと製造者が判断したため
平成6年に公布され、平誠7年7月1日に施行された「製造物責任(PL)法」施行を期に
直火不可となりました。
直火不可となりましたが、
容器の形状的には独自性が見られ、
色や風合いを残したいと、
昔を懐かしむお客様からの要望もあり、
現代でも製造されている次第です。
使い捨て容器のようにも思われがちですが、
末永くご使用いただけたら幸いです。
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また、三重県四日市あたりでは、
直火で使用できる陶器として「土鍋」を製造しておりますが、
こちらは熱による膨張が少ない耐熱性の土を使用しておりますので、
安心してご使用いただけます。
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